膀胱炎の症状
膀胱炎とは、膀胱に炎症がおきている状態です。膀胱炎になると、尿をするときに痛い(排尿時痛)、嫌な感じがする(違和感)、排尿後もすっきりしない(残尿感)、おしっこがちかい、おしっこの回数1日10回以上に増えた(頻尿)などの症状がみられます。また、尿が白く濁って見えたり(混濁尿)、血が混じったり(血尿)することもあります。つらい症状がつづきますが、発熱はありません。しかし、膀胱炎を治療しないで症状が進行してしまうと、腎盂腎炎になり38℃を超える発熱がでることもめずらしくありません。腎盂腎炎になってしまった場合は、点滴による治療や、入院での治療が必要になります。そうならないためにも、膀胱炎になった場合は早い時期に適切な治療を受けていただくことが大切です。
膀胱炎の中でも患者数が最も多いとされる急性膀胱炎の原因菌の大半は大腸菌で、尿道が短いという構造上の問題から女性の患者数が多いです。

膀胱炎の検査
膀胱炎は、尿道から細菌が膀胱内に入ってしまうことによって引き起こされます。一番多い原因菌は大腸菌です。
膀胱炎の検査は、尿検査を行います。尿中の白血球反応、潜血反応、タンパク、糖などをチェックします。膀胱炎の場合、白血球反応や、潜血反応が陽性になります。
また同時に、尿培養検査を行います。これはとても大切な検査で、膀胱炎の原因となった細菌を特定し、さらにどの抗生剤が効くのか(薬剤感受性検査)を調べる検査です。尿培養検査は、抗生剤を飲み始めてしまうと正しい結果が得られないので、最初に受診していただいた際に治療開始前の尿で検査を行います。尿培養検査は、結果が出るのに1週間程度かかります。
膀胱炎の治療
膀胱炎は、抗生剤を内服していただく治療を行います。通常はニューキノロン系や、セフェム系抗生剤を使用します。近年これらの抗生剤に耐性をもった細菌(薬剤耐性菌)が増えてきていると報告されています。抗生剤を内服しても膀胱炎が良くならない場合は、薬剤耐性菌に感染している可能性があります。最初に処方された抗生剤で十分な効果が得られなかった場合は、尿培養検査の結果を参考にしながら、有効な抗生剤を選択します。
膀胱炎の痛みが強い方には、一時的に鎮痛剤を併用することもあります。 膀胱炎を何度も繰り返す方には、予防のための漢方薬を内服していただくこともあります。

膀胱炎の原因
細菌が尿道から膀胱内に入ってしまうことで膀胱炎が引き起こされます。細菌が膀胱内で増殖し、膀胱の粘膜に炎症を起こすことによって、さまざまなつらい症状を引き起こします。原因菌の約80%は、肛門周囲に多い大腸菌です。
女性は男性と比べて尿道が短いため、尿道から膀胱に細菌が入りやすく、そのため膀胱炎は女性に多い病気です。
細菌が尿道から膀胱内に入ってしまっても、直ちに膀胱炎になるわけではありません。ストレスや過労、エアコンで体が冷やしてしまい、抵抗力が弱っている時には膀胱炎にかかりやすくなります。また、尿意があるのにおしっこを我慢したり、仕事中で長時間トイレに行けなかった場合は、細菌が膀胱内で増殖する時間が長くなり、膀胱炎の原因となります。
妊娠、生理中など、女性ホルモンが変動している期間は、膀胱炎にかかりやすい時期です。
膀胱炎を繰り返したり、抗生剤を内服しても膀胱炎がなかなか治らない場合は、膀胱結石や膀胱癌が原因となっている可能性もありますので、泌尿器科専門医による診察が必要になります。
膀胱炎の予防
- 陰部を清潔に保つようにしましょう。
- 排尿後のペーパーは、前から後ろへ拭くようにしましょう。逆向きに拭くと、肛門周囲の細菌が尿道から膀胱へ入ってしまいます。
- ウォシュレットを強く当てすぎないようにしましょう。大腸菌が水圧で尿道から膀胱内に押し込まれてしまいます。
- 性交渉の際に尿道から膀胱内に細菌が入ってしまうことがあります。性交渉の後には排尿して、膀胱内を空っぽにするようこころがけましょう。
- 膀胱に尿がたまっていると、細菌が増えやすくなります。トイレを我慢しないようにしてください。3-4時間毎に排尿し、膀胱内の細菌を排出するようにするようにしましょう。
- 水分を多くとるようにしましょう。尿量が増えて、トイレの回数が増えれば、膀胱内の細菌もそのたびに排出されるようになります。
- ストレスを避け、体調と生活リズムを整え、抵抗力が落ちないようこころがけましょう。
- 便秘気味の人は膀胱炎になりやすいと言われています。便秘に注意しましょう。